この記事のもくじ
弁理士(特許事務所)は儲かるの?実力と営業力次第で儲かると思います
こんにちは。
企業内弁理士のタクパパです。
弁理士(特許事務所)はもう儲からないと言われて久しい気がしますが、実際のところどうなのでしょうか。
その昔は弁理士といえば人数が少なく、むちゃくちゃ稼げる時代があったようです。
ベンツを乗り回して愛人を何人もかこっている弁理士もいたみたいですね。
愛人はいらないですが、僕も弁理士という職業を知った時に、
「そんなに稼げる職業なのか、面白そうだな。」
と思った記憶があります。
そんな弁理士も今は特許出願件数が減ったとか、弁理士の人数が増え過ぎたとか色々と言われていますが、実際はどうなんでしょうか。
結論からいえば、実力と営業力次第でいくらでも儲かると思います(って当たり前ですかね、すいません・・)。
今日はこの弁理士(特許事務所)が実際のところ儲かるのか、どうなのか、という話をしてみたいと思います。
日本特許出願件数の推移(弁理士(特許事務所)の収入の源)
弁理士は、基本的に特許などの手続を顧客(※特許が欲しい企業など)に代理して行うことで、その対価として顧客から料金をお支払い頂くというのが収入の源であるといえます。
なので端的にいえば、日本特許出願件数が増えれば弁理士のトータルの収入は増えますし、日本特許出願件数が減れば弁理士のトータルの収入は減ります。
それで↑のグラフが日本特許出願件数の推移なのですが、2009年に348,596件であったのが、2018年に313,567件なので、ざくっと35,000件くらい減ったわけですね。
弁理士(特許事務所)に支払う料金で考えると、ざくっと以下のときに料金を支払うとしましょう。
・新規特許出願30万円
・拒絶理由通知対応10万円
そうすると、すべての弁理士(特許事務所)のトータルの収入から
40万円×35,000件=140億円
が少なくとも減ったわけですね。
これだけでも1000人くらいの弁理士(特許事務所)はご飯が食べられなくなったといえるのかなと思います。
なお、上記は簡単のために二つの手続だけを示しましたが、特許の手続は複雑で特に海外の特許の手続まで含めるとむちゃくちゃお金がかかります(※弁理士(特許事務所)に支払う料金も増える)。
つまり、日本特許出願件数が35,000件減ったことに起因して、上記した140億円どころではなく、その倍以上(280億円)は弁理士(特許事務所)のトータルの収入が減ったと考えてもいいかもしれません。
弁理士の人数・会社勤め割合の推移(弁理士(特許事務所)の収入を左右)
弁理士の収入を考えるもう一つ、弁理士の人数も重要ですね。
当然かもしれませんが、すべての特許出願に関して、弁理士に支払う料金のトータル(※要するに市場のパイ)をすべての弁理士で分け合うことで、各弁理士の収入が決まるわけですからね。
仮に弁理士に支払う料金のトータル(※市場のパイ)が1000億円だとして、弁理士が5000人しかいなければ、単純に割り算すると、弁理士の一人当たりの収入は2000万円です。
しかし、弁理士に支払う料金のトータル(※市場のパイ)が変わらず1000億円のままであれば弁理士が10000人になれば弁理士の一人当たりの収入は半分の1000万円というわけですね。
それで弁理士の人数の推移を↑のグラフから見てみると2003年に5192人であったのが2019年に11336人まで増えています(T□T)
これは絶望的ですね笑
その昔は弁理士試験に合格して弁理士になりさえすれば、特許事務所を開業してお金持ちという時代があったようですが、その時代から比べれば今の弁理士(特許事務所)はむちゃくちゃ厳しくなったといって間違いないでしょう。
会社勤めの弁理士の割合が2003年に11.3%であったのに2019年に23.4%まで増えているのもうなずけます。
要するに、特許出願件数は減っているのに弁理士の人数が増えているため、特許事務所を開業しても仕事を確保するのが難しいと考える弁理士が多いということでしょうね。
特許事務所の弁理士の仕事は本当にないの?儲からない?
これはずばりそんなことは全くない(特許事務所の弁理士の仕事はいくらでもある)と僕は考えています。
僕の知り合いで、ここ数年で弁理士として特許事務所を開業した人が何人かいますが、どの人を見てもうまくいっていますね。
ただしそのうまくいっている人たちに共通していえるのは、企業で知財戦略の策定と実行を実践してきた方たちで、とにかく経験と実力があるということです。
稼いでいる弁理士(特許事務所)の能力とは?
稼いでいる弁理士には経験と実力があるということですが、ここでいう実力というのは単に明細書が書けるとかではなくて、特許の活用方法まで含めてクライアントが期待する価値を提案できるかどうか、だと思います。
つまり、顧客が儲かるための知財戦略を策定し実行までできるかというのがその弁理士の実力というのかなと僕は考えます。
ここでクライアントがなんで特許を出願するかといえば、簡単にいえば特許で儲けるためですよね。
特許で儲けるといっても、その特許そのものを企業に活用してライセンス料で儲けることもあるとは思いますが、これはまれですね。
むしろ自社のビジネスの鍵となる技術について特許を取得することで、その技術を独占的に実施し、そのビジネスで勝つという戦略の方が描きやすいと思います。
もちろん明細書が書けるのは大前提としてあるのですが、上記したようにビジネスで勝つためにはどのような特許を取得しなければいけないのか、その特許をどのように活用してビジネスで勝ちにいくのか、その戦略が描けないといけないですけどね。
なお、この戦略を描くためには、その前提として戦略を実行に必要となる良い特許を弁理士が作らないといけません。
このためには明細書の作成能力が極めて大事になるのですが、この良い特許を作りあげるための明細書の作成能力というのは、企業で知財戦略の策定と実行を繰り返し行わないとなかなか理解するのが難しいと思います。
つまり企業の知財部として知財戦略に基づいて実際に特許を活用してみないことには、使える特許がどのような特許であったか、あるいは使えない特許はいったい何が問題であったのか、痛感することができないためです。
稼げる弁理士(特許事務所)の能力を得るためには?
ずばり言うと上記したような知財戦略の策定、実行までを行える企業の知財部で働くのが一番良いと思います。
どのような企業がお勧めかは別の記事で書いてみたいと思いますが、とにかく特許の活用を盛んに行うような業界が良いですね。
特許事務所でいくら明細書を執筆しても、知財戦略の策定や実行を行うことはまずないので、特許を活用することは通常、ありません。
ですので、特許事務所で働くだけでは稼げる弁理士(特許事務所)の能力を得ることは難しいかと思います。
本記事のまとめ
以上、弁理士(特許事務所)は儲かるのかどうなのかという話をダラダラとしてしまいましたが、いかがでしたでしょうか。
ちなみにここ数年で弁理士として特許事務所を開業した僕の知り合いは、なんと
「1ヵ月で新規特許出願を30件、こなしたことがあります。最近は依頼が多すぎて断ることもありますよ。」
と話していました。
1件30万円で計算すると、1ヵ月で
30件×30万円=900万円
の売上ですか。
ちょっと体に悪そうなので、ここまではやりたくないですが(笑)、夢があっていいですよね。
なので、弁理士は実力と営業力次第で儲かるということで、間違いないと思います!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
コメント