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初心者向け特許出願方法(書類①願書作成(ロバート秋山さん特許を例に説明)
こんにちは。
企業内弁理士のタクパパです。
知財部の仕事内容の一つに特許出願がありますが、この特許出願時に必要な書類ってどんなものかご存じでしょうか。
これは実際に特許出願の際の書類を見てみた方が理解しやすいと思うので、今回は初心者向け特許の基礎知識ということで、この特許出願時に必要な書類のうち、「願書」について説明したいと思います。
なお、以前の記事で、ロバートの秋山さんの「梅宮辰夫ものまねTシャツ」の特許について説明しましたが、この特許は明細書の文章が短くて非常に分かりやすいですし、何より面白いので、これを使わせていただいて説明します。
ちなみに特許出願時に必要な書類とは↓の5つですが、「願書」だけも説明が長くなってしまったので、今回はこの「願書」に絞って説明します。
①願書(がんしょ)
②明細書(めいさいしょ)
③特許請求の範囲(とっきょせいきゅうのはんい)
④図面(ずめん)
⑤要約書(ようやくしょ)
ロバート秋山さん「梅宮辰夫ものまねTシャツ」特許出願の願書
特許出願の願書ですが、↓の書類がロバート秋山さんの「梅宮辰夫ものまねTシャツ」の特許出願(特願2016-172346)の願書です。
秋山さん特許願書特願2016-172346というのは、その特許出願の出願番号と呼ばれるものです。
ちなみに願書だけではないですが、特許出願の書類はその特許出願が出願公開された後、誰でも特許庁のJ-PlatPat(特許情報プラットフォーム)から確認することが可能です。
願書に記載する内容について、ロバート秋山さんの特許出願(特願2016-172346)を例として特に重要な項目を説明します。
なお、以下では願書の重要な項目から説明していますので、願書の項目の順番通りにはなっておりませんので注意してください。
特許出願の願書の重要な記載事項(発明者)
ロバート秋山さんの特許出願(特願2016-172346)で「発明者」は「秋山 竜次」となっているのでロバート秋山さんご自身が発明者ということですね。
なので、あの「梅宮辰夫ものまねTシャツ」はロバート秋山さんご自身で考えられたということです。
ちなみにこの特許出願では「発明者」が「秋山 竜次」の1人だけですが、複数人で考えたアイデアの場合、この「発明者」が複数になることがあります。
ロバート秋山さんのこの特許出願の場合、たった一人で「梅宮辰夫ものまねTシャツ」を考えて、しかも特許出願をしようと考えられたのは、素晴らしいと思います。
どこかで解説できればと思いますが、「梅宮辰夫ものまねTシャツ」は結構、売れているみたいですし、この特許でお金を稼ぐこと(マネタイズ)が可能だと思いますね。
特許出願の願書の重要な記載事項(特許出願人)
特許出願人とは、その通り、特許出願をする人のことです。
必ずしも「発明者」と「特許出願人」は同じではない点には注意です(※同じ場合もありますが)。
個人でも法人でも「特許出願人」になれますが、大半の特許出願は法人が特許出願人となっていますね。
このロバート秋山さんの特許出願でも、「株式会社エース・マーチャンダイズ」という法人が特許出願人となっています。
ですので、発明者のロバート秋山さんはご自身の発明についての「特許を受ける権利」を「株式会社エース・マーチャンダイズ」に譲って、ロバート秋山さんの代わりに「株式会社エース・マーチャンダイズ」が特許出願人として特許出願を行ったということですね。
ちなみに「株式会社エース・マーチャンダイズ」の代表取締役は秋山真哉さんという方のようですが、おそらくロバート秋山さんとはたまたま同じ苗字であったのかなと思います。
ロバート秋山さんがどのような経緯でご自身の発明について、「株式会社エース・マーチャンダイズ」に代わりに特許出願をしてもらうことになったのかは分かりませんでした。
特許出願の願書の重要な記載事項(代理人)
代理人とはいったいなんでしょうか。
ずばりこれは僕のような弁理士のことです。
つまり、特許出願の手続は非常に複雑で難しいので、弁理士という特許出願の専門家に特許出願の手続の代理人を依頼して、代わりに手続してもらうことができます。
このロバート秋山さんの特許出願(特願2016-172346)では「高松 宏行」という弁理士の方に「代理人」を依頼したようですね。
ロバート秋山さんが「高松 宏行」という弁理士の方に「代理人」を依頼したというよりは、特許出願人の株式会社エース・マーチャンダイズが依頼したということだと思いますが。
なお、代理人を依頼することなく、発明者個人(ロバート秋山さん)が特許出願人として特許出願を行うことも可能です。
あるいは、代理人を依頼することなく、特許出願人(株式会社エース・マーチャンダイズ)の中でどなたかが代表して特許出願を行うことも可能です。
このように代理人に依頼することなく、発明者個人や特許出願人の代表者が特許出願の手続を行う場合には、願書の「代理人」の記載は不要です。
ただし、特許の実務経験がなく、ご自身で特許出願の手続をするのはできないことはないと思いますが、使い物にならない特許となる可能性が高いので、絶対にやめた方がいいです。
この使い物にならない特許とはどういう特許なのかは別の記事で説明したいと思います。
特許出願の願書の記載事項(先の出願に基づく優先権主張)
「優先権主張」というのは、かなり特殊な手続で、あまり使うことがない手続なので、気にしないでいいです。
ただ「優先権主張」についてざっくり言うと、ロバート秋山さんは、今回の特許出願(特願2016-172346、出願日2016/09/03)のちょっと前に似たような内容の特許出願を2件していました(特願2016- 43062(出願日2016/3/7)と特願2016- 79108(出願日2016/4/11))。
今回の特許出願(特願2016-172346)をする際に、おそらく弁理士(高松宏行さん)と
という話になったのかなと想像します。
つまり3件が1件にまとまるので、その分、手続も簡単になりますし、手続にかかる費用も削減できますよね。
特許出願の願書の記載事項(国際特許分類)
これもあまり気にしないで良いと思いますが、特許出願すると、その特許出願は技術ごと分類されることになっていまして、この技術分類のことを国際特許分類といいます。
興味がある方は見ていただければと思いますが、たとえば身近な例でいうと、室内のエアコンだったらF24F 1/00という国際特許分類が付与されるといった具合です。
変な話ですが、願書に間違った国際特許分類を付与したとしても特許庁の方で正しい国際特許分類に修正してくれますので、あまり気にしないでよいですね。
本記事のまとめ
以上、特許出願時に必要な書類①ということで願書について説明しましたが、いかがでしたでしょうか。
なかなか実際の例で説明しているものがなかったので、勝手ながらロバート秋山さんの特許出願のものを使わせていただきましたが、ご理解いただけると嬉しいです。
その他の特許出願時に必要な書類②~⑤については別の記事で詳細に説明したいと思います!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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