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king&princeがCM出演のぷっちょ(UHA味覚糖)特許戦略(知財戦略)がすごい
こんにちは。
企業内弁理士のタクパパです。
UHA味覚糖の「ぷっちょ」をご存じでしょうか?
最近、「king & prince」がCMに出演しているソフトキャンディのお菓子のことで、僕も大好きなお菓子です。
ソフトキャンディって口に入れると割とすぐになくなってしまうので、僕は気づくと、たくさん食べてしまいます笑
それであの「ぷっちょ」なのですが、実は特許を取得しているってご存じでしょうかね。
意識してみないと気付かないと思いますが、実は「ぷっちょ」の包装の裏面には↑の写真のように特許番号(特許第3405323号)が記載されています。
実はこのUHA味覚糖の特許戦略がすごいなと思ったもので、今回はこの「ぷっちょ」の特許について、またUHA味覚糖の特許戦略について説明しますね。
king&princeがCM出演のぷっちょ(UHA味覚糖)ってどんなお菓子なの?
「ぷっちょ」の商品説明としては、「CMを見て下さい」と言いたいところですが、正直、言って、現在、流れているCMを見てもどんなお菓子なのかは、ほとんど分かりません笑
CMのメインは「ぷっちょ」というお菓子のPRというよりは「king & prince」で、「king & prince」が「Kinちょ & Prinちょ」に名前を変えることを条件に「ぷっちょ」のCMがもらえたといった、ちょっとしたネタのようなCMになっていますね。
「king & prince」のファンにとっては面白いと思うので、ぜひ見てみていただければと思います。
それで「ぷっちょ」の商品説明ですが、ずばり↑の画像(出典: UHA味覚糖)に示す内容のお菓子になります。
なんのことはないですが、要するにソフトキャンディの中につぶつぶの小さいグミがたくさん入っているというお菓子です(「ソフトキャンディ」+「グミ」)。
↑の画像では、「ヨーグルトソフトキャンディ」にたくさんの「ヨーグルトグミ」が入っているものが表示されていますが、他にも「ぶどう」、「コーラ」、「シャインマスカット」などなど色々な味があります。
また↑のヨーグルト味の「ぷっちょ」では、「ヨーグルトソフトキャンディ」に「ヨーグルトグミ」の他に「乳酸菌タブレット」が入っているみたいですが、「乳酸菌タブレット」はこのヨーグルト味の「ぷっちょ」のオリジナルで、基本の「ぷっちょ」は「ソフトキャンディ」+「グミ」というお菓子です。
僕はもともと特に弾力のあるグミが好きだからかもしれませんが、この「ぷっちょ」のグミって結構、弾力がありまして、ソフトキャンディを噛むときに良い感じの歯ごたえになって、たまらなくおいしいんですよね。
ぷっちょ(UHA味覚糖)の特許ってどんな内容?お菓子で特許なんて取れるの?
「ぷっちょ」なのですが、「どこが特許なの?」と思われるかもしれませんが、実際にUHA味覚糖は特許を取得しています(特許第3405323号)。
↓が「ぷっちょ」の特許(特許第3405323号)の特許公報になります。
JPB 003405323-000000「ぷっちょ」の特許(特許第3405323号)の「特許請求の範囲」を見ていきましょう。
この特許の「特許請求の範囲」には「請求項」が1つしかありません。
【請求項1】
固形分がゼラチンと1種以上の糖類からなり、
かつ一粒の大きさが最終のソフトキャンディーの高さの20~80%で水分含有量が10~20重量%のグミが5~30重量%、中に分散されていることを特徴とするソフトキャンディー。
いやぁ、「請求項」の文章が短くて良い特許ですね。
まず、【請求項1】の
というところは要はソフトキャンディのことを言っています。
次に【請求項1】の
というところですが、これがグミの特徴です。
グミのつぶつぶの大きさ(20~80%)とか、水分含有量(10~20重量%)とか、ソフトキャンディに対するグミの体積の割合(5~30重量%)とかを限定しているということですね。
この数字の範囲が広めに設定されているので、「ぷっちょ」と同じおいしさにしようとしたら、この特許は逃げるのが難しいのかもしれません。
ぷっちょ(UHA味覚糖)特許戦略(知財戦略)とは?
普通のお菓子メーカーさんが「ぷっちょ」を開発したとして、それで特許を取得しようと考えるでしょうか?
相当、特許のセンスがあるか、あるいは特許実務の経験のある人が開発に携わっていないと、なかなか「特許を取得しましょう」という話にならないような気がします。
社内に知財部があれば話は別ですが、知財部が社内になければ、よほど変わったお菓子でもない限り、なかなか特許を取得することはないのかなと思いますね。
なお、UHA味覚糖は2000年6月19日に「ぷっちょ」の特許出願(出願番号:特願2000-182538 )を行っています。
そして、この特許出願(特願2000-182538)が後に上記の「ぷっちょ」の特許第3405323号となります。
2000年当時にUHA味覚糖がこの「ぷっちょ」の特許出願をなぜしようと思ったのかは、分かりませんが、結果的にこの特許戦略(知財戦略)が大成功となっていると僕は思います。
まず、「ぷっちょ」ですが、UHA味覚糖が2000年に発売開始して以来のロングセラー商品といえるでしょうし、今でも、どのコンビニに行ってもだいたい売ってますよね。
したがって、UHA味覚糖の「ぷっちょ」の事業は大成功であるといえると思います。
そして事業成功のポイントになるのが、「ぷっちょ」と似たようなお菓子って意外にないということです。
申し訳ないですが、「ぷっちょ」っておいしいですけど、「ソフトキャンディ」+「グミ」という、しごく単純なお菓子なので、正直、他のお菓子メーカーがマネしようと思えばできなくもないかと思います。
にもかかわらず、発売開始からもうすぐ20年が経とうとしているのに、どこのお菓子メーカーもマネしないのはなぜでしょうか?
それはUHA味覚糖が「ぷっちょ」の特許第3405323号を取得していることが要因の一つとしてあると僕は思いますね。
しかもUHA味覚糖がわざわざ特許第3405323号を取得したことを「ぷっちょ」の包装に記載してPRすることで、他のお菓子メーカーからしてみるとマネしたら怖いですよね。
ちなみに仮に他のお菓子メーカーが特許第3405323号をマネして「偽ぷっちょ」を生産し、販売したとすると、UHA味覚糖は特許第3405323号に基づいて、その「偽ぷっちょ」の生産の差止請求、及び損害賠償請求の訴訟を起こすことができます。
それだけ特許の威力は怖いものなんですよね。
結局、特許戦略(知財戦略)というのは、事業の成功に寄与することができたかどうかで決まるので、その意味ではUHA味覚糖の「ぷっちょ」の特許戦略(知財戦略)は大成功といっていいでしょうね。
ぷっちょ(UHA味覚糖)特許はいつ切れるのか?(特許満了日)
特許なのですが、残念ながら未来永劫、続く権利ではなくて、残念ながら終わりがあります。
特許の満了日(※特許が切れる日)は特許出願の日から20年と決まっているんですね。
UHA味覚糖の「ぷっちょ」の特許第3405323の特許出願の日は2000年6月19日なので、もう来年ですが、2020年6月19日には、この特許が切れてしまうということです。
特許が切れてしまえば当然、他のお菓子メーカーは「ぷっちょ」の特許第3405323の内容を使うことができるので、もしかすると、来年の2020年6月19日以降には他のお菓子メーカーから「ぷっちょ」と似たお菓子が出てくるかもしれませんね。
本記事のまとめ
以上、ぷっちょ(UHA味覚糖)がどのようなお菓子か、また「ぷっちょ」の特許の内容、さらにUHA味覚糖の特許戦略(知財戦略)について説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。
実は特許出願をしたものの、その特許出願の「請求項」に記載の発明(※上記の事例なら「ソフトキャンディ」+「グミ」)を事業に結び付けられるケースはそんなに多くないです。
特に上記した「ぷっちょ」の事例のように、特許出願後、20年間近くもその特許発明を事業で使い続けるなんてことは、むちゃくちゃまれなケースなんです。
だいたい、特許出願後、4~5年はその発明を事業で使っていたけど、その後は一切、使わなくなって、特許を放棄したりするケースがほとんどですね。
だから、それだけUHA味覚糖の「ぷっちょ」の特許出願は大成功の事例といってよいと思います。
そして、お菓子メーカーには限りませんが、他の企業も、こういった単純な発明であっても特許を取得できるし、その特許がビジネスを成功に導くカギともなり得るので、日ごろから意識していただけると嬉しいです。
もし必要がありましたら、僕にご相談いただければと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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